【戦術分析】レビュー 2025年 J2第11節 V・ファーレン長崎VSいわきFC

Jリーグ

 リーグ戦4試合勝利なしのV・ファーレン長崎は、ホームでいわきFCと対戦し3-4の敗戦に終わったことで11節を終了し10位まで後退した。ホームということでチーム状態を上向きにしたかっただけにとても残念な敗戦であった。この試合は、一度もリードできず失点を重ねてしまっており内容としても悪い試合であったが、いわきの長崎に対する対策も素晴らしかった。いわきが仕掛けてきた対策を戦術的にみていき、長崎がそれに対してどう対応したのかを書いていく。

フォーメーション・スタメン

長崎は4-2-3-1の基本布陣で前節から4人メンバー変更。怪我をしていた安部が復帰した。

いわきは3-4-2-1の基本布陣で前節から3人メンバー変更。

長崎のビルドアップを封じたいわきの守備

 長崎は普段通り2CB+GKの後ろ3枚でビルドアップを行っていたが、それに対していわきはFW熊田と谷村が2CBの前にポジショニングにし、シャドーの山口がACの安部にマンマーク気味にマークしていた。
 一見、長崎の3枚対いわきの2枚のため数的優位を作れているがGKからCBへパスが行くとプレスを開始し、再びGKへボールを戻すとそのままCBへのパスコースを消しながらプレスをしてくることで、AC安部へのパスも出せずロングボールを蹴らされいた。

 また、フォーメーションのかみ合わせでは長崎のSBがフリーになりやすいのだが、いわきはそこも理解しており、SBにパスが出たときにWBの選手が素早くプレスを行うため、余裕をもってボール保持を行うことができなかった。加えて、いわきはWBの動きに合わせてCBも横スライドしてスムーズにマークを行っており、ほぼ長崎の選手をフリーにさせずマークすることができていた。

 前半はいわきのこの守備によって長崎はビルドアップがほとんどできず相手陣内にボールを運ぶことができていなかった。
 これに対して、後半に入った後に長崎が行った対応が“前線へのロングボール”というシンプルなものであった。前線にいるFWフアンマやいわきの3CB脇のスペースを突くようにWGへのパスが多かった。これは、後半途中出場したFW山崎が入って尚更みられるようになっていた。しかし、ロングボールからのセカンドボールを拾うとって2次攻撃を行うというデザインしてきたチームではないため、こぼれ球を拾えるのは決して多くはなかった。

悲しいハットトリック

 この試合長崎が得点した3点は、FWフアンマによるハットトリックであったのだが度重なる失点により悲しいハットトリックとなってしまった(個人的に1点目はオフサイドと思うが)。また、2点目に関してはフアンマの守備によりボールを奪取し、ショートカウンターを発動させることができていたのは長崎がこれまで得点してきた形であったため、フアンマの守備は素晴らしいものであった。
 また、3点面に関しては相手をしっかりゴール前でブロックしてシュートを決めたシーンはフアンマらしいゴールであり、やはり長崎のストライカーはフアンマ・デルガドだと証明しただろう。

次節に向けて

 長崎のお粗末な守備に関しては、監督の問題もあるのだろうが選手自身のプレーレベルも問題がある。セットプレーでのミスマッチなマーク、中途半端なクリア、ボールと相手選手を同時に視野に入れない守備など...。あらゆる面で守備で徹底できてないことが多いため、おそらく守備の改善はすぐに改善されないと考える。そうなると勝利を取りこぼすことが多くなり、このままではプレーオフですら入るのが難しいのではないかと思う。
 次節は、アウェイでコンサドーレ札幌と対戦するのだが、長崎より下位のチームとはいえ勝利することはどうか疑問である。ポジティブに考えたいのだが今のチーム状態からはあまり希望が持てないというのが正直な気持ちだ。しかし、長崎の選手は下を向かずに目の前にある壁を乗り越えようとしてくれているはずのため、私としても札幌戦のプレビューを書いて希望を持ちたいと思う。
 共に戦おうV・ファーレン長崎!!

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