2025年1月7日、サウジアラビアの地でスーペルコッパ決勝が行われた。決勝の対戦は同じミラノの地にホームを置くミラノダービーとなった。ダービーということで両者とも負けられない一戦となったが、ミランの大逆転勝利による優勝で幕を閉じた。今回は、優位に立っていたインテルをミランがどう攻略したのか戦術的にみていきたいと思う。
フォーメーション
インテルは3-5-2の基本布陣で、守備時は5-3-2の5バック。
ミランは4-2-3-1の基本布陣であるが、守備の際はこの試合では、選手交代により5-4-1や4-4-2で守備をすることがみられた。
ハイライン攻略のインテル
インテルのビルドアップ時は、中央CBデフライと右CBビセックの2枚とGK、もしくはACチャルハノールが最終ラインの中央に入っての3枚でビルドアップを行う。ACチャルハノールに対してミランのBOフォファナがマークするのだが、最終ラインにチャルハノールが入るとそこまでマークはできない。しかし、ACがいなくなったインテルは中央へのパスルートがなくなるため外回しのビルドアップとなりやすくなるのだが、ビルドアップに関してはそこまで重要視していないようにみえた。それは、ミランがインテルがボールを後方で保持している際に最終ラインが高い位置に設定しており、ハイラインで前線でボールを奪おうとしていたからだ。
おそらく、インテルはミランのハイラインの守備を想定していたと考える。ミランは7番モラタと14番ラインデルスの2枚で前からプレスを行うのに対して、インテルは前述したとおり後方3枚でボールを保持するため3対2でインテルが数的優位となる。そうなると、ハイラインの後方の広大なスペースへロングパスを行う際に、インテルの後方3枚のうち左右はボールを保持しても余裕が持て、精度の高いロングパスを行うことができる。その効果がみられたのが後半47分の場面だろう。
流れを変えたミラン
インテルから2失点目を奪われた3分後に、20番ヒメネスから10番ラファエルレオンに選手交代したあたりからミランの流れが変わった。ラファエルレオンはボールを持てば推進力があり、単独突破によりチャンスを作ることができ、実際に1点目に関してはラファエルレオンの突破をファウルにて止められたFKからゴールしている。
また、2点目に関しては、左サイドでボールを受けた10番ラファエルレオンが、内から外に追い越すようにフリーランした19番テオエルナンデスにスルーパス。ボール前にマイナス方向へクロスをしたところに、11番プリシッチが決めて同点ゴールとなる。これは、インテルの5バックを形成する前に攻めた得点であった。
そして、3点目に関しては、見事な5バック攻略であった。右サイドでボールを受けた11番プリシッチが相手左WBをつり出す。さらに、内から外にフリーランしてきた2番カラブリアが相手左CBをつり出し、ポケットへのスペースを空かせる。そのスペースへ10番ラファエルレオンが入りボールを受け、ゴール前へ折り返し90番エイブラハムが決めた。
総括
前半まではインテルの試合であり、事前の作戦によって優位に立っていた。しかし、後半からのミランの選手交代により流れを変え、インテルの5バック攻略を図ったミランが後半3発により逆転勝利し優勝となった。特に、3点目の5バック攻略は非常に参考になる崩しであり、改めて選手のフリーランの重要性がわかる得点であった。
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