ラ・リーガ 第21節 A・マドリードvsビジャレアル【レビュー】

アトレティコ・マドリード

 前節、レガネス戦で敗戦し連勝がストップしたことでR・マドリードに首位を譲ってしまい、再び上昇気流に乗りたいA・マドリードは、2025年1月26日にビジャレアルと対戦したが1-1の引き分けで勝利に至らなかった。今回は、停滞した前半と攻勢にでることができた後半のA・マドリードの変化を書いていく。

フォーメーション

A・マドリードは、前節より3人メンバーを変更。左SBハビガランが怪我のためヘイニウドが先発出場し、VOデパウル→コケ、右CFグリーズマン→コレアが出場。
 A・マドリードが4-4-2、ビジャレアルも4-4-2ということで、この試合はミラーゲームとなった。

侵入できないバイタルエリア

 前半、A・マドリードが効果的にビジャレアルの守備を攻略できなかったのは、バイタルエリアへ侵入できていなかっただろう。まず、A・マドリードのビルドアップ時から説明していく。

 この試合A・マドリードのビルドアップは、最終ラインが4バックのままでコケがACの位置に入り、ギャラガーとバリオスがIHの位置に入ることで中盤が逆三角形の形となる。それに対し、ビジャレアルの守備はミドルブロックにて守り、ハイプレスは行わない。2トップはACコケへパスが渡らないように2トップの間を狭めて守る。そして、中央に位置するギャラガーとバリオスに対してのマークは両VOが対応する。

 このようなビルドアップとミドルブロックの組み合わせでは、A・マドリードの最終ラインとビジャレアルの前線の枚数が同数となる。CBがボールを持っている際、2トップがプレスに向かいやすいため楔となるパスが出せない。また、ハーフスペースに位置したギャラガーとバリオスがビジャレアルのVOにマークされやすいことにより、ビジャレアルのバイタルエリアへ侵入できなかった要因かと考える。加えて、CFとしてグリーズマンが出場していなかったこともあるだろう。グリーズマンは、ビルドアップ時にVOの位置まで下がることで局所的に数的優位を作り、ボールを前進しやすくする役割をもつ。

バイタルエリア突けなかったA・マドリード

 後半に入り、A・マドリードはジュリアーノ→アスピリクエタ、ギャラガー→デパウル、ヘイニウド→サムエウリノの3人を変更。デパウルが入ったことでコケと2VOとなり、CBからのボールの出しどころを増やしビルドアップと前進をしやすくした。それにより、ビジャレアルのミドルブロックを後退させて押し込むことができる。
 また、サムエウリノはギャラガーと違う点としてボールを持つとドリブルによって仕掛けていける点がある。これは、相手のディフェンダー2人を引き付けることができることで新たにスペースを生み出しチャンスを作ることができる。
 以上のことから、A・マドリードは前半と違い攻勢に出ることができ、57分には同点に追いつくことができた。しかし、追加点に至らなかった点として、相手ブロックのバイタルエリアをつけなかったことだ。実際、A・マドリードが得点に至るパスに関してはバイタルエリアへのパスではなく、ブロックを横切るパスにより相手守備ラインを揺さぶったことによるものであった。横パスが決して悪いということではないが、相手のディフェンスラインとしては楽な守り方となりやすい。

総括

 後半に修正を図ったA・マドリードであったが、効果的な攻撃は行えずビジャレアルの守備を攻略できず引き分けに終わってしまった。今シーズンはボールポゼッション率を上げることで自らが支配して勝ち続けてきたシメオネ監督率いるA・マドリードであるが、シメオネ監督自身にボールポゼッションからのブロック攻略のノウハウがあまりなく、選手個人のアイディアに依存している割合が多く感じる。特に、グリーズマンが抜けたときの停滞がみられ貢献度の大きさがわかる。今後の試合はシメオネ監督の選手起用が重要なところである。

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