【戦術分析】プレビュー 2025年 J2第9節 V・ファーレン長崎VSサガン鳥栖

Jリーグ

 リーグ戦のアウェイ2連戦を2連敗し、ルヴァンカップではJ1の湘南に敗戦したことで公式戦3連敗をしているV・ファーレン長崎。ホームにサガン鳥栖を迎える試合で立て直しを図りたい上に、九州ダービーということもあり絶対に負けられない試合となる。
 
 サガン鳥栖は、シーズン序盤から白星をあげれず一時降格圏にいたが直近5試合を3勝1分け1敗で徐々に立ち直ってきている。今年から注目されているRB大宮アルディージャに対して今シーズン初の黒星をつけたのがサガン鳥栖であった。そんなサガン鳥栖は今シーズンどのようなサッカーをしているのか戦術的にみていきたいと思う。

フォーメーション

 基本布陣は3-4-2-1のフォーメーション。Jリーグファンならご存知のとおり、鳥栖はポゼッション型のサッカーを行うチームであり魅力的なチームである。

鳥栖の攻撃

 鳥栖のフォーメーションを踏まえて4-4-2で守る長崎とのかみ合わせを考えると、長崎の前線と中盤で数的不利となりやすい。

 まず、鳥栖の3CBに対して長崎は2トップであるため数的不利となるためプレスがハマり難い。もし、数的同数とするならば両SHのどちらかを前に出さないといけないのだが、そうなると全体的にバランスの取れた4-4-2ブロックを崩すことになるため、ここ最近失点数が多い状況ではこのような守備は行わないのではかと考える。

 次に、中盤の数では長崎が2人に対して相手は4人であるため、かなりの数的不利になる状況である。鳥栖の2シャドーは、2VOの前にポジショニングし積極的に攻撃参加するが、リンクマンとしてCBとWGの間にポジショニングし前進を手助けする場合もある。

 そのため、長崎はミドルブロックでの4-4-2を形成することがよいだろう。ブロックが前がかりになりすぎると、中盤と最終ラインの間にスペースが生まれてしまうためリスキーだ。守備をコンパクトにしてライン間を狭めることで、ライン間にボールを入れられても瞬時にプレスを行える。
 さらに、付け足して言うならば奪い所を設定する必要がある。ただただ相手のミスを待つのではなく、こちらからパスコースを限定して誘導して奪うことようなことができたならば、受け身な守備とならずに守備の向上を図れるのではないかと考える。

 また、鳥栖のFWヴィキンタス スリヴカの存在によって、鳥栖は無理にビルドアップを行わずこの選手にロングボールを当てて一気に前進を図ることもできるため、対峙する長崎のCBは対応が必要だ。加えて、鳥栖のWGに関しては、両側とも積極的にドリブルを仕掛けてくる選手であるため安易に侵入を許すのは避けたいところだ。

鳥栖の守備

 鳥栖の守備は、自陣まで撤退した時は5-4-1で守るのだが、相手のビルドアップ~前進までは5-2-3でプレスを行ってくる。FWスリヴカは運動量豊富とまではいかないが相手ACのパスコースを消して、2シャドーが前に行き相手CBへプレッシャーをかけることで相手のボール回しを外循環にさせる。
 

このような守備に対して長崎の攻撃での4-1-2-3とかみ合わせてみるが、長崎のビルドアップはあまり苦戦しないのではないかと考える。鳥栖の2シャドーが長崎のCBへプレスを行うと数的同数であるが、長崎はGK+CBの3人でボールを回すことで数的優位になる。また、両SBもフリーとなりやすいためボールを持てば前にドリブルをして前進しやすい。しかし、鳥栖のWGが大きく前に出てくるならば前進は難しい。

 個人的には、長崎は完全に引いた5-4-1の守備ブロックを攻略するのが苦手であると考えるため、ある程度自陣に相手を引き込んでからMFマテウスかFWにボールを預けて素早く攻撃する“疑似カウンター”が効果的と考えている。

展望

 鳥栖はリーグの中で得点数が少ないチームであるが、長崎は失点数がとても多い状況であるため安心できない。鳥栖は5バックで守るということであるため大量得点を取ることは難しいと考えると、この試合はロースコアになると予測している。なおさら、九州ダービーということも考えるとかなり拮抗したスリリングな試合となるはずだ。ほぼ満員のスタジアムで迎える長崎としては上位に離されないためにも、そして不穏な雰囲気を断ち切るためにもこの試合は絶対に負けられない試合となる。

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