苦手なアウェイでヴァンフォーレ甲府と対戦したV・ファーレン長崎は1-1の引き分けに終わり、リーグ戦の連敗を3で止めることができた。怪我人が多くチームの調子が落ちており、さらに当日の気温が30度超える環境の中で引き分けにできたのは御の字といえるだろう。この一戦では、どうにかこの悪い流れを断ち切ろうとする姿がみられたため、今回は具体的にどのような戦術変更を施したのかを書いていきたいと思う。
フォーメーション

長崎は4-1-2-3の基本布陣。
前節から後藤→原田、エドゥアルド→照山、櫛引→新井、関口→米田、山田→加藤の5人メンバー変更し、主に守備陣を大きく変えてきた。
甲府は3-4-2-1の基本布陣。
前節からMレイリア→熊倉の1人メンバー変更のみであった。
修正したビルドアップとフィニッシュの形
長崎の課題としてはブロックを組まれた相手を攻略できない点だ。前節の鳥栖戦でもブロックの周りをグルグルとボールを回すだけになっていた。しかし、前節の鳥栖戦と比較してシャドーの名倉がビルドアップに関わっていたことやCBから楔のパスを入れていたことでボールの前進が改善されていた。そして、ある程度相手陣内まで押し込むことができたら、シンプルにフィジカルに優れた1トップのマテウスへのクロスを入れることが多くシンプルな攻撃をしていた。実際に、長崎の先制点でも相手陣内でボールを回すというより、シンプルにゴール前にいるマテウスにクロスを入れていたことで取れた得点であった。
しかし、ビルドアップに関してGK+2CBの3人で普段のようにボールを持っていたのだが、甲府は1トップ+2シャドーの3人で前線を形成していたことでプレスされやすかった。後ろ3人でしばらく回していると、甲府のWBが前に前進し長崎のSBへボールが渡りそうになるとプレスしてくるため、ここがハメ所として設定していたのかもしれない。そうなると、そのまま2CB対甲府の1トップで数的優位を作れるはずであるため、わざわざ後ろ3人にする必要があったのか疑問である。
そして、フィニッシュをシンプルにしているが対策はされやすいだろう。クロスの前にしっかりマテウスをマークして飛ばせないように体をあらかじめ当てていれば、ベストな姿勢でボールに合わせることができない。また、クロスに関しても精度の高いクロスを入れるために、パワーをフリーにさせるような形としているわけではないため、毎回いいクロスが入れれるわけではなかった。
基本的な部分で改善されない守備
長崎の守備でのプレスに関しては、長崎の2トップに対して甲府は3CBであるため数的優位を作られやすく、自然と長崎の守備は後退されやすい。そのため、一度甲府がボールを持つと長くボール保持される形となっていた。
失点シーンに関しては、ロングスローからの始めの競り合いに問題があったようにみえる。長崎の増山と甲府の熊倉が競り合うのだが、その前にマテウスがジャンプしてボールをヘディングしようとしている。触れたらよかったのだが触れず、マテウスが触ると思っていた増山は態勢が整っておらず競り負けて熊倉が後ろにボールを逸らしてからゴールに結びついている。
ここでは、ボールに対して誰が触るのかはっきりとする必要があっただろう。それこそ、声を出して誰がファーストディフェンスに行くかすべきだ。細かく思うが、ディフェンスをする上では必要なことであるため、このようなところに長崎のディフェンスが突き詰めれていない点だと思ってしまう。
まとめ
前節の鳥栖戦から修正して悪い流れを断ち切ろうとする姿勢はみれたがはっきりとした改善ではなく、やはり離脱した怪我人達の存在が大きいのだろうか。正直、ビルドアップにこだわる必要があるのか個人的に疑問に思っており、やはりカウンターのような形でスピーディーに攻める形が最も攻撃を発揮できるのではないかと考える。しかし、そのカウンターのための守備がうまくできていないことがジレンマである。守備が安定しない限りは長崎が大量得点することは遠くなってしまうのではないかと考える。
次節は、現在J2リーグで最下位に位置しているいわきFCとの対戦である。このチームも3バックから守る際は5バックとなることが予想されるため、単純に考えるのならば長崎の攻撃が滞る可能性が高いため、ロースコアになると予想される。この試合は、長崎のホームであるためここで勝利して流れを変えたいところであり、苦しい中でも上位に食いつきたい試合となる。
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